参考書の概要
この参考書は、地理Bの学校で習う全範囲について解説しています。
ですから、もう一度最初から地理を学び直したいという方も、安心して学び直せます。
また、著者は河合塾講師の瀬川聡さんという方なので、予備校の授業を受けるのと同等の効果は期待できると思います。
全体的な構成としては、前半に系統地理が解説されていて、後半に地誌地理が解説されています。(この2つについては後述します。)
説明については、講師と生徒の会話形式で展開されているので、本自体は分厚いのですが、非常に読みやすくなっています。
また、図や表は非常にカラフルで、視覚的にも理解しやすくなっています。
Amazonのレビューには下記のようなレビューもあり、良書であることが伺えます。
普通の参考書や教科書のように、説明と図のみではなく、所々に生徒の質問が載っていてそれに答える形式で書かれていて分かりやすいです。
(勿論普通の説明と図のページの方が多いですが)
地理の勉強だけでなく、どのように勉強すればいいのか、地理の勉強「方法」まで書いてあって丁寧な参考書だな、と思いました。
学校の授業よりも役にたつので、地理の授業中はこの参考書を使って内職しています。
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では、細かい所について見ていきましょう。
使用目的
使用する目的としては、地理の基本的な考え方や、暗記事項を確認して、定着させる事です。
講義系の参考書なので、基本的な事の説明が多くて、演習問題はあまり入っていません。
ですから、得られる効果としては、
短い期間で地理Bの全範囲を1周出来る
事です。問題演習をやる前に、この参考書をうまく活用して、予習や復習をしましょう。
難易度やレベルおよび対象者
難易度は普通くらいです。地理初学者でも初めから学ぶ事が出来ますし、地理が得意な人でも、重要事項の確認や、盲点の発見などに使う事が出来ます。ですから、対象者の範囲はとても広いです。
センター地理Bを受験する方の、ほとんど全ての人にオススメしたい1冊となっています。
しかしこの本は、センター試験に照準を合わせているので、記述の勉強をしたい方には少し物足りないと思います。
当然記述のための考え方も、センター試験の考え方と同じではありますが、この参考書ではセンターの4択問題で選択肢を絞る為の考え方を主に説明しているので、この1冊をやっただけで記述が完璧に書けるようになるとは言い切れませんので、あくまでセンター地理対策の参考書だと思って下さい。
いつから取り組むべきか?
この参考書では、地理の問題の考え方を重要視しています。
ですから僕の考えでは、あまり受験直前にやるものでは無いかなと思います。
理想的な流れとしては、
地理を習い始めた頃から同時並行で進めておく
→その考え方を利用して、問題演習をする
→本番でもその考え方が使えるようになる
という感じです。この参考書は、読んだからといってすぐに点数が跳ね上がるようなものではなく、
地理的な考え方が身につくものなので、実際に問題演習でどの考え方を利用するのかを確認する事が必要不可欠なのです。
悪い流れとしては、
地理は暗記すればなんとかなると考える
→受験直前にこの参考書を読む
→問題に対してどう考えればいいのかがわからない
という感じです。
ただ、このように「考え方」と言っていてもよくわからないと思うので、「地理的な考え方」について、次項で例を挙げて解説していきましょう。
使い方・勉強法
まず最初に言っておきたい事は、
「地理はただの暗記科目ではなく、あるルールを覚える事で、半分以上の問題が思考によって解ける」
という事です。
どういう事か?では例を挙げてみますね。
例えばこんな問題があったとしましょう。
(問題)次の地図の中のA~Dの中で、フィヨルドがある場所を答えなさい。
おそらく学校の授業では、フィヨルドはノルウェーにあると紹介されると思います。
ですから、地理を暗記して勉強している子は、
「フィヨルドはノルウェーにある!」
と考えてノルウェーを探す事でしょう。
まぁ確かに、選択肢にノルウェーがあれば当然それは正解になりますね。
しかし、選択肢にノルウェーが無かったらどうしますか?
フィヨルドはノルウェーだけに出来る地形では無いわけです。
暗記しかしていない人は、この後適当に選択肢を1つ選ぶだけ、つまり勘で問題を解くことになってしまいます。
実際に自分が高1の時にもそうだったのですが、地理が出来ない人は地形の名前と写真をひたすら暗記します。
しかし、フィヨルドの写真が出て来てその名前を答える問題なんて、学校の定期テスト以外では出て来ません。
そんな問題誰でも正解出来てしまうからです。センター試験では、「地理は暗記科目ではない」というメッセージが含まれているような問題がたくさん出題されます。
じゃあこの問題の場合どんなことを勉強しておく必要があるのか?応用力をつけるためにはどうしたらいいのか?
地形の問題では、その地形の名前を覚える事なんてどうでも良くて、その地形の出来方を覚える必要があるのです。
フィヨルドの出来方、勉強した事はありますか?
フィヨルドというのは、U字谷が沈降して海水が流入した地形です。
この出来方さえ覚えていれば、思考によって先程の問題を解く事が出来ますね。
思考プロセスは以下のようになります。
フィヨルド→U字谷が沈降している→U字谷の出来方を考える→氷河の侵食によって作られる→昔氷河があったであろう場所を考える→主に南北の低温な地域だろう→ここで初めて選択肢を見る→答える
といった感じです。
このように、地理はいくつかのルールを覚えるだけで、半分以上の問題がそれらの組み合わせで解けてしまうような科目です。
そのルールを学ぶのが、系統地理の分野です。
では、地誌地理は何を学ぶのか?
ルールによって半分以上の問題は解けますが、やはりその地域にしか当てはまらないものなどもあります。
そういった細かい知識まで追求していくのが、地誌地理です。
そして地理の面白いところは、地誌地理のある程度の所までは系統地理の知識を組み合わせて理解出来るという点です。
この参考書では系統地理の解説が非常に丁寧です。
ですから、勉強法としては、系統地理で学んだ事を、自分なりにノートにまとめてみるというのはどうでしょうか?
ルールだけを自分の言葉にしてコンパクトにまとめていくと、問題を解いている時にも思い出しやすいですし、地理がルールの組み合わせで解けるという事も納得していただけると思います。
この参考書の次に取り組むことは何か?
何度か述べたように、この参考書では地理の問題を解くためのルールをわかりやすく説明しています。
そのルールを実際に運用する練習というものは必要不可欠です。
ですから次に行うべきことは、問題演習です。
しかし、1問1答系の参考書はあまりオススメしません。
なぜなら、地理を暗記科目として勉強してしまう可能性があるからです。
センター試験の地理の問題は非常に上手く作られています。なぜなら、ほとんどの問題が、ルールを2~3個程組み合わせて解けるようになっているからです。
ひたすら1問1答を暗記して来た人では解けず、ルールを覚えて来た人には解けるようになっています。
ですから、問題演習で使う問題はセンターの過去問が理想的ではあります。
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人にもよりますが、本番前にまとめて解きたいという人は何年分かを残しつつ、センターの過去問を出来るだけルールを使って論理的に解くという訓練をしてみるのが良いと思います。
特徴
良い点と悪い点についてまとめてみましょう。
良い点
・絵や図がカラフル
・文章が会話形式なので読みやすい
・著者が予備校講師
・地理に必要な考え方が身につく
悪い点
・演習問題が少ない
・分厚いため持ち運びにくい
といったところでしょうか。
まとめ
センター地理というのは、受験生に「地理は暗記じゃない」ということを伝えようとしている、良い問題が揃っています。
それを攻略するためには、暗記で立ち向かってはいけません。この参考書を使い込めば、地理的な考え方が身についてきて、さまざまな問題に対応出来るようになります。
地理を暗記科目として勉強しているうちは、点数は全然上がらないので、「地理は勉強しても伸びない」などと思ってしまうかもしれません。しかし、テストでは暗記した問題がそのまま出る事はほぼ無いので、点数が上がらないのは当たり前ですね。
知らない問題でも論理的に解けるように勉強することが、センター地理対策として最適な方法です。
実際、僕はこのような勉強を始めてから、センター模試の地理の点数は30点ほど上がりました。
みなさんもぜひ試してみてください!
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