1.単語集は何でもよい。自分に合うものを。
2.単語学習は、単語集メインorサブの2パターン。
3.熟語は熟語集メインで学習するのみ。
4.完璧さを求めない。
みなさん、はじめまして。英語の講師をしています、三浦淳一といいます。
簡単に自己紹介をしますと、現在は某大手予備校の講師をしつつ、N予備校、学びエイドなどの映像授業にも出ています。
予備校講師歴は約25年。
著書のうち代表作には『全レベル問題集 英語長文』『入門英語長文問題精講』(旺文社)などがあります。
また、大学受験情報誌の記事を多数執筆したり、『全国大学入試問題正解』(旺文社)の解説執筆を20年以上担当したりと、自分で言うのもなんですが、大学入試の英語には最も精通している人々の1人ではないかと思っています!
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英単語/熟語学習の必要性
英単語を覚える必要がない!と思っている受験生はいないでしょう。
実際、英文を読んでいると、知らない単語がたびたび出現し、それが理解を妨げていることは明らかなのです。
また、英文を書くうえでも、単語が思い浮かばないから書きたい内容が書けない、という状況が起こります。
これに対し、熟語はどうでしょうか。
こちらは、必要性を認識していない受験生が多いように思います。
私は大学受験指導を20年以上やってきましたが、10年ほど前から、「単語集」はやるけど「熟語集」はやらない、という受験生が多くなってきたように感じます。
これは、文法・語法・熟語・発音・アクセント・会話表現などを1冊にまとめた「オールインワン型」の参考書が普及したことと関係していると思います(このような参考書にも不十分ながら熟語も多少載っており、やらないよりはマシです)。
実際には、単語以上に熟語は得点に直結します。
一見したところ文法問題らしいけれど実は熟語が問われているだけ、という問題が多く出題されていますし、語句整序問題(並べ替え問題)の半数以上は熟語(的な表現)が問われています。
英作文も、熟語を使えば楽に書けるのに、熟語を知らないせいで非常に苦し紛れな英文を書いてしまうケースが多く見られます。
そんなわけで、単語だけでなく熟語も、しっかりと対策をしておかなければならないのです。
熟語専門の本を1冊、しっかり仕上げてください。
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英単語の楽な暗記法は存在しない
「英単語が覚えられません。楽な暗記法を教えてください」
このような質問(相談)を受けることがあります。
そんな方法があるなら、私の方が教えてほしいぐらいです!
残念ながら、楽に単語を覚える(しかも忘れずに記憶を保持する)方法というのは、存在しないようです。
これは英単語に限りませんが、みなさんの周囲にいる「暗記が得意な人」は、実はみなさんよりも記憶力が優れているわけではなく、コツコツ努力しているだけなのです。
というわけで、「楽な方法はない」「コツコツやるしかない」と認識することがスタートラインです。
英単語の覚え方には2種類ある
では、実際の暗記法を考えていきましょう。
まず、英単語を覚える方法は大きくわけて2つあります。
1つは、「単語集」を中心にする方法。もう1つは「単語集」を補足的に用いる方法です。ちなみに、「単語集」にもいくつかタイプがありますが、後述します。
「単語集」を中心にする方法とは、まさに「単語集」が単語学習の主役になる方法です。
理想としては、たとえば毎日20個ずつ「単語集」に掲載されている単語を暗記する。当然、人間は忘れる生き物ですので、時間がたてばどんどん忘れていきます。
それを反復によって何度も覚えなおす。
たとえば、1週間に一度、その週に覚えた単語の復習をする。1か月に一度、その月に覚えた単語の復習をする。
このやり方は、もっとも確実で、達成感もあります。
ただ、継続するのはなかなか大変です。1回でもストップしてしまうと、やる気が失われてしまいます。
「単語集」を補足的に用いる方法とは、単語学習の中心を「単語集」以外の教材(一般的には長文読解の問題)に置くということです。
毎日、その日に読んだ英文の中で出合った未知の単語をリストアップして覚える。
週に1回でも、月に1回でも、「単語集」をざっとチェックし、知っている単語と知らない単語に分ける(無理に暗記しようとしない)。
このやり方は、単調な暗記を毎日続けていくというつらさがないので、挫折しにくいというのが最大のメリットです。
読解問題の中で出てきた単語を覚えるだけでは、網羅性に不安が残りますが、定期的に単語集をチェックすることで解決できます。
何より、機械的に単語を暗記するよりも、英文の中で覚えていく方が“生きた単語力”になり、その単語のイメージをつかみやすく、それが最終的には表現力にもつながります。
私自身は後者のやり方で単語を学びました。
・・・と言うと聞こえがいいのですが、実際には毎日コツコツと単語を覚えていくのに挫折したので方法を変えただけです。
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単語を見て1秒以内に日本語訳が思い浮かぶようにする
単語集をメインにするかサブにするか、これはみなさん次第です。
どちらでもよいので、試してみてください。
いずれにしても、いざ暗記をするという段階で、どうやって暗記するのか、という話をしましょう。
単語集で単語を暗記する場合、単語を見て1秒以内に日本語訳が思い浮かべば〇、そうでなければ×をつけます。
1秒以内というのが大事です。
英文を読んでいて、「この単語はどんな意味だっけ?」と考え込んでいたら、長文を試験時間内に読み切ることなど不可能です。
これを何周もして、すべての単語に〇がつくまでやるのです。
たとえば、4回連続で意味が頭に浮かばず、5周目でやっと意味が言えたという場合、その単語の横に「××××〇」という印がつくことになります。
このように記録を残しておけば、自分が苦手な単語がどれなのか、一目瞭然ですね。
月に一度の総復習の時には、×がたくさんついた単語を重点的に覚えればよいわけです。
長文読解問題の中で単語を覚える方法としては、以下の2つあります。
1.英文中の覚えるべき単語にマーカーで印をつけ、左右いずれかの余白にその日本語訳を書いておく。
日本語訳を紙や下敷きなどで隠し、印をした単語の意味を言えるようになるまで繰り返す
2.覚えるべき単語をレポート用紙などに書き出す。
左右対称式にし、左側に英単語、右側に日本語訳を書く。
右側を隠して、左側の単語の意味を言えるようになるまで繰り返す
1.の方が、わざわざ単語をリストアップする手間がかからないので、楽ですね。
2.の方法だと、左側を隠して、日本語→英語の変換も練習できますので、英作文が出題される大学を目指す受験生には特に効果的です。
おすすめ英単語帳・参考書
正直に言えば、単語集は何でもよいのです。
どの単語集も掲載されている見出し語、その他の情報はだいたい同じです。
人から勧められたものより、自分が「これがいい」と思ったものの方が、挫折せずに続けられますので、実際に手に取ってみて、「いいな」と思ったものを使いましょう。
多くの受験生に支持されているものであれば、どれを使っても間違いないです。
特に、上記の「単語集を補足的に用いる方法」をとる場合、単語集の重要性はかなり下がります。
学校や塾・予備校で指定の単語集がある、定期的に単語テストが行われている、などの場合は、その単語集で十分です。
よほど自分のレベルと合わないといった事情がない限り、新たに購入する必要はありません。
それでも新しく購入するのであれば、以下のものをお勧めします。
なお、すべて「デメリット」も指摘しますので参考にしてください。
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❶『英単語ターゲット1900』(旺文社)
オーソドックスなレイアウトで、左ページに英単語と日本語訳、派生語などの情報、右ページに例文があります。
旺文社が保有する膨大な入試問題データをフル活用し、大学受験英語を徹底分析したうえで制作された、もっとも信頼に値する単語集と言えるでしょう。
派生語、関連語などの情報も必要十分です。
ちなみに、現在6訂版ですが、4訂版の時に私・三浦が改訂を担当し、見出し語や日本語訳を大幅に改めました。
オーソドックス過ぎるので、単調な学習になりやすく、途中でギブアップしてしまいがちな点がデメリットでしょう。
❷『システム英単語』(駿台文庫)
『英単語ターゲット1900』は“語”を覚える単語集であるのに対し、こちらの『システム英単語』は“句(フレーズ)”を覚える単語集です。
たとえば、eliminate=「除去する」と覚えるのではなく、eliminate nuclear weapons=「核兵器をなくす」と覚えさせる形式をとっています(フレーズの下に、通常の単語リストもあります)。
実際の用例とともに覚えるので、単語のイメージもつかみやすく、英作文にも効果的です。
ただ、上記の例の場合、フレーズのまま覚えてしまうので、eliminateという語を見たときに「核兵器の話かな?」などと反射的に考えてしまうというデメリットがあります。
❸『必携英単語LEAP』(数研出版)
「発信語彙」と「受信語彙」を分けるなど、英語4技能を意識した、新しい単語集。
レイアウト的には『英単語ターゲット1900』とほぼ同じですが、単語を覚えさせようという工夫が随所に見られます(語源、カタカナ英語との関連など)。
また、テーマ別の配置になっている(たとえば「意見・主張」「準備・適応」「感情・興味」など)点も新しいですね。
ただ、最後の点が実はデメリットであり、テーマを見れば語義が推測できてしまうので、覚えたかどうかのチェックをする際にかえって邪魔になってしまうのがネックになります。
この単語集は非常に情報量が多いので、大学受験対策としては十分すぎるほど充実していますが、完璧にしようとすると、他の学習がおろそかになる恐れがありますので、適度に使うことがポイントになるでしょう。
❹その他の単語集
ここに挙げたもののほか、『速読英単語』(Z会)、『DUO3.0』(アイシーピー)、『キクタン【Advanced】6000』(ALC)、『東大英単熟語 鉄壁』(KADOKAWA)などが難関大学受験生に支持されています。
これらは、私は個人的には勧めませんが(内容が悪いわけではないのですが、レイアウトとか形式面で使いにくく感じてしまいます)、もし「自分に合う」と思うのであれば、使ってみてもよいと思います。
最近の受験生を見ていると、英検対策の単語集を受験対策に使っている人が多いようです。
英検準1級はちょうど大学入試レベルなので、このような単語学習も効果的ですね。
英熟語の暗記法とおすすめ参考書
英単語と異なり、英熟語は「長文読解問題の英文中で覚える」というスタイルは無理があります。
なぜなら、1つの長文の中に登場する熟語はだいたい2、3個、多くても10個以下なので、この方法では必要な熟語を覚えるまでに時間がかかりすぎてしまうからです。
そこで、熟語は「熟語集」をどんどん覚えていくしか方法がありません。
おすすめの熟語集を、これまた3つほど紹介します。
❶『頻出英熟語問題1000』
英単語と違って、英熟語はストレートに出題されます(意味が近いものはどれか、という出題が最も多い)。
そこで、問題を解きながら覚えよう!というのがこの本のコンセプト。
一緒に覚えるべき表現などもまとまっており、必要十分な情報量です。
私が予備校で教え始めた頃からある本なので、古いといえば古いのですが、英熟語の出題傾向は(単語に比べると)昔と変わっていないので、現在も十分に役に立つ本と言えるでしょう。
❷『解体英熟語』(Z会)
これも、問題を解きながら覚えるスタイル。
また、それぞれの熟語がなぜその意味になるのか、といった情報もあり、理屈抜きに丸暗記するのが苦手な人にとっては理想的な熟語集でしょう。
かなり細かいものまで入っているので、難関大受験生でも十分すぎるほどの内容です。
❸『英熟語always 1001』(河合出版)
見やすいレイアウト。
特に良いのが、実は「索引」です。
ふつうの熟語集の索引は熟語しか載っていませんが、この本は日本語訳も載っているので、直前期のチェックに使いやすいのです。
ちなみに、熟語集の「索引」は知識の整理に非常に有効です。
例えば、「takeから始める熟語がいろいろあって混乱してきたなあ」と思ったら索引を見れば、take ~がまとめて載っています。
英単語/熟語の暗記のコツ
最後に、暗記のコツについて話しましょう。
大事なことは、完璧に覚えようとしないことです。
本当に大事な語句であれば、これから先の学習で何度も出てくるはず。
だから、今完璧に覚える必要はないのです。
完璧さを追求すると、どんどん学習が苦痛になります。
そして結局はギブアップしてしまうことになります。
たとえば、今日は単語を覚えるぞ!と決心したときに、50個の単語を完璧にするよりも、100個の単語をうろ覚え程度に覚える方が効果的です。
なぜなら、「見覚えのある単語」が増えるからです。
「見覚えのある単語」は、次に英文中で出合った時に、「初めて見る単語」よりも圧倒的に覚えやすいのです。
実は、単語集で単語を覚えるのは、単語の知識をその時点で定着させるためではなく、今後覚えやすくするための「下地」を作るためなのです。
どうせ一回で知識が定着することなどありえないのですから、何度も出合うようにするしかありません。
このように割り切って考えた方が、語彙の学習に挫折する可能性を減らせるはずですよ。
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