1.「文法問題を解くための文法学習」を卒業しよう。2.「正しく英文を読み書きするための文法学習」をやろう。3.文法の体系的学習は、授業を利用するのが効率的。4.参考書は通読せず、辞書的に使う。
5.問題集は「単元別」と「形式別」を使い分ける。
こんにちは。英語講師の三浦淳一です。
簡単に自己紹介をしますと、現在はN予備校・学びエイド・医学部受験専門予備校YMSなどにて講師を務めており、予備校講師歴は約20年。著書のうち代表作には『全レベル問題集 英語長文』『入門英語長文問題精講』(旺文社)などがあります。
StudyFor編集部より
三浦淳一先生のN予備校での授業映像です。
今回は英文法の学習についてのお話です。
その他の学習方法・勉強法については↓をご覧ください。 英文法の学習について、多くの受験生のイメージは以下のようなものでしょう。 「大学入試問題には、4択の穴埋め問題や、正誤問題(=いわゆる文法問題)が出題される」 ↓ 「だから英文法を勉強しなくては!」 ↓ 「まず、詳しい解説が載っている“参考書”を熟読して、それぞれの文法単元を理解しよう」 ↓ 「そのあとで単元別の“問題集”を解いて完成させるぞ!」 実際、多くの指導者がこのような学習を勧めていますし、ある意味、理想的な学習法であることは否定しません。 ただ、私は何万人という受験生を見てきましたが、この方法で英語が得意になったという人はきわめて少数派です。 私自身、高校時代に学校の先生からこのような学習を勧められたのですが、参考書の第1章「品詞」の途中で挫折しました(笑)。 まず、文法を学ぶ目的を明確にしましょう。 もちろん、上述のいわゆる「文法問題」も出題されますが、国公立ではほぼゼロ、私立大学ではせいぜい1~2割程度です。 「文法問題を解くための文法学習」という固定観念は、捨てなければなりません。 「文法」とは、その言語を支配しているルールのこと。外国語を学ぶときには、そのルールに則って文を読み書きしなければなりません。 このような話をすると、ネイティブスピーカーや帰国子女は文法なんて知らなくても正しく読み書きできるじゃないか、私たち日本人だって文法を意識しなくても日本語が使いこなせるじゃないか、といった意見が出てきます。 確かにその通りなのですが、それは「文法を知らない」のではなく、「文法が完全に体にしみついていて、無意識に使いこなしている」のです。だから、文法的に正しい文を当然のように書けるのです。 小さい子どもの段階から何年間も、その言語が使用されている環境に身を置かなければ、そのようなレベルには到達できません。 私も、英語を長年教えていますし、それなりに勉強もしているつもりですが、到底そのようなレベルには達していません。 受験生が1年という短いスパンで結果を出そうとしたら、文法学習は避けて通れないということがわかりましたか? そんなわけで、文法学習の目的は、文法というルールに則って、正しく英語を読み書きすること、なのです! では、どのように英文法を学べばよいのか。 ズバリ、「ちゃんとした先生に教えてもらう」。これに尽きます。 わかりやすい参考書もたくさんありますが、英文法だけは、わかりやすい授業を受けないと、マスターするのはきわめて困難ではないかと思います。 参考書で学ぶのに比べ、授業を受けて学べば、(もちろんその授業のクオリティにもよりますが)10分の1以下の労力で済むはずです。 残念ながら、最近は高校の授業で体系的に英文法を教えるということが少なくなりました。 これは学校の先生が悪いのではなく、文科省の定める学習指導要領がそういう方針になっているし、検定済教科書もそのような方針に基づいて編集されているからです。 結局、塾・予備校に頼るしかなさそうですね。地域的、経済的、時間的事情などにより、それが難しい場合は、インターネットで配信されている講義を利用してみましょう。1か月1000円前後から利用できます。 私・三浦が指導しているのは、N予備校というネット上の予備校です。 こちらでは、私の英文法の授業のほか、私が作成した参考書、問題集も利用できます。 スマホでも学習できるので、通学時間などを有効に活用できますね。 参考書は不必要であるかのような話の流れですが、一応おすすめの「参考書」を挙げておきます。 ただ、これらを初めから通読するようなことはおすすめしません。 効率が悪いですし、ふつうの人には耐えられないと思いますので。 では、どうやって使うのかというと、学習の中でわからない文法事項が出てきたときに、“辞書的に” 使うのです。 目次や索引から自分が知りたい項目を探し、その部分を読んで理解する。 これが参考書の正しい使い方です。 1も2も似たような本です。いわゆる「参考書」。学校で指定教材になっていることも多いでしょう。 これはだいぶ違うタイプの本ですね。講義をそのまま活字にしたような本です。 網羅性はないのですが、とにかくわかりやすいので、学習のスタートには適した本です。 続いて、「問題集」です。2つのタイプがあり、「単元別」と「形式別」に分類できます。 前者は、「時制」「不定詞」など文法単元別になっている問題集。授業と並行して問題練習をしたり、体系的に学ぶのに適しています。 後者は、「空所補充問題」「正誤問題」など出題形式別の問題集。ひと通り文法学習が終わった後に実戦力をつけるのに適しています。 StudyFor編集部より これらは単元別の問題集です。1と2はレベルが高いので、難関私立大学を目指す受験生におすすめです。センター試験レベルなら3で充分です。 これらが形式別の問題集。良問がそろっています。 なお、センター試験で高得点を狙うなら、こういった問題集をやるのもいいのですが、過去のセンター試験第2問をできるだけ古い年度までさかのぼって解くのも効果的です。 前述のとおり、英文法は信頼できる指導者に教わるのが一番ですので、塾や予備校のカリキュラム通りに学んでいけば問題ありません。 独学でやる場合、英文法の単元別の学習は、志望校の過去問を解き始める段階までに仕上げておきたいところです。 最初に言いましたが、英文法の学習目的は正しく英文を読んだり書いたりするところにあります。特に、英文の構造にかかわる事項は早めにマスターしておかないと、いつまでも英文に対する理解があやふやなままになってしまいます。 そこで、以下の単元はできるだけ夏休みまでに仕上げた方がよいでしょう。 「文型・動詞」「時制」「態」「仮定法」「準動詞(不定詞・動名詞・分詞)」「接続詞」「関係詞」「比較」 逆に、知らなくてもそれほど英文の構造把握には影響しない、以下に挙げるような、どちらかといえば細かい知識の単元は、後回しでもいいでしょう(やらなくてよいと言っているのではありませんよ!)。 「前置詞」「助動詞」「名詞」「代名詞」「形容詞」「副詞」「冠詞」 夏休み以降、遅くとも11月頃には、形式別の問題集に取りかかれると理想的ですね。
受験生がイメージする英文法学習
英文法学習の目的
英文法学習の方法
おすすめの参考書・問題集
1.『高校総合英語Harvest』(桐原書店)
2.『総合英語Evergreen』(いいずな書店)
3.『英文法講義の実況中継』(語学春秋社)
1.『頻出英文法語法問題1000』(桐原書店)
全解説頻出英文法・語法問題1000について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
【英文法・英語参考書】全解説頻出英文法・語法問題1000の使い方・レベル・評価・勉強法
2.『英文法・語法問題のトレーニング 1.戦略編』(Z会)
3.『英文法・語法問題ベスト400』(学研)
4.『英文法ファイナル問題集(標準編)』(桐原書店)
↓全解説実力判定英文法ファイナル問題集について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
【塾講師おすすめ!】全解説実力判定英文法ファイナル問題集の使い方・レベル・評価・勉強法
5.『ランダム英文法・語法最終チェック問題集』(旺文社)
英文法の学習スケジュール